人気イラストレーターの江口寿史(えぐち ひさし)氏に、思わぬ疑惑がふりかかりました。
2025年9月25日に公開された「中央線文化祭」のポスターイラスト
江口寿史氏が制作したその絵が、Instagramに投稿された実在の人物の写真と“そっくり”だったのです!
その後、SNSでは「トレパク特定班」が過去の画像を掘り起こし、多くのトレパク疑惑作品をアップ!
「そもそもトレパクって何?」
「悪いことなの?」
という声もあがり、大きな話題となっています。
さらに、2022年に炎上した古塔つみ氏のトレース問題とも共通点が多く、ネット上では
「初代・古塔つみ」「第二の古塔つみ」とまで言われる事態に。
この記事では、江口寿史氏のトレース疑惑についてわかりやすく紹介していきます。
- 江口寿史氏のなにが問題なのか
- 実際の比較画像まとめ
- 古塔つみ氏との違いや共通点
江口寿史のトレース疑惑が炎上した理由

このイラストは、「中央線文化祭」というイベントのポスターとして江口氏が制作したもの。
しかし、X(旧Twitter)にアップされた女性の横顔イラストが、あるInstagramユーザーの写真とそっくりすぎる!と話題になったのです。
指摘されたのは、写真家・金井球(かない きゅう)氏が投稿した一枚の写真。
それと江口氏のイラストを見比べると――

輪郭、髪の流れ、首の角度までがほぼ完全一致。
SNSではすぐに「これってパクリでは?」「トレースじゃないの?」といった声があふれました。
炎上と批判
その後、江口氏は10月3日にXで反応を示しました。

中央線文化祭のイラストは、インスタに流れてきた完璧に綺麗な横顔を元に描いたものですが、ご本人から連絡があり、アカウントを見てみたらSNSを中心に文筆/モデルなどで発信されている金井 球さんという方でした。その後のやり取りで承諾を得たので再度公開します。金井さん(@tiyk_tbr)の今後の活動にも注目してくださいね。 JR荻窪駅のルミネ、地下と1階出入り口にどでかい看板が現在貼り出し中なので近隣の方はしばらくの間よろしく!
「インスタで見かけた横顔が完璧だったので、描かせてもらった」と説明。
モデルの金井氏へは、あとから連絡し許可を得たとのことでした。
でも、この対応がさらに炎上を加速させてしまったのです。
炎上の理由は3つ
- 許可をとったのは“あとから”だったこと
- 謝罪の言葉が一切なかったこと
- 投稿の最後に「金井さんの活動にも注目してね」と、まるで宣伝のように結んでいたこと
こうした姿勢が「軽すぎる」「人を素材扱いしてる」と反発を呼びました。
さらに、金井球さん本人もXでコメントを投稿。
「わたしは“わたし”という人間であり、権利をもつ存在です」
「使用されるときには、先に確認してほしかったです」
この言葉が多くの人の共感を呼び、江口氏への不信感はさらに高まりました。
ここで重要なのは、“トレースしたこと”が問題なのではないという点です。
批判ポイントは2つ
- 他人の肖像を事前許可なく商用に使った
- 謝罪も配慮も感じられない対応
そのうえ、江口氏は過去のインタビューでこう語っていました。
「よく写真をトレースして下描きをつくる」
「トレースに罪悪感はない」
この過去発言も“ブーメラン”となって炎上の火をさらに強くしました。
こうして、たった一枚のイラストがきっかけで、江口寿史氏の過去作品や姿勢そのものに疑問をもつ人が続出。
SNS全体を巻き込んだ、大きなトレース疑惑騒動へと発展していったのです。
SNSで拡散された比較画像まとめ!トレース元はInstagramやPinterest?
今回の騒動をここまで大きく広げたのは、SNSで拡散された「比較画像」のインパクトでした。
とくに、X(旧Twitter)では、イラストと元画像を重ねた検証画像(重合画像)が次々と投稿されました。
始めに注目された中央線文化祭ポスターの画像を投稿したXユーザーのポストには、
「これが江口風イラストの正体か」
「誰でも真似できそう…」
といった皮肉の声が寄せられました。
この投稿は2万件以上のいいねを集め、炎上の火にガソリンを注いだ形となりました。
問題はここで終わりません。
過去の江口作品にも「似ている写真がある」とする比較画像が続出!
中でも話題となったのが、次の3つのイラストです👇
モデル男性写真
2018年に発表されたZoffのメガネ拭きのイラスト。
こちらは、モデル・鈴木武蔵マーリンさんがポストしたものです。
写真とほぼ一致!
新木優子さんの写真
ファッション誌『non-no』に掲載されたものや、吉祥寺駅近くのサンロード商店街の旗広告イラストなど。
女優・新木優子さんの写真とポーズ・衣装・髪型が一致しています。



■ 画集掲載の女性像 × SNSモデルの写真
画集に収録されていた女性イラストが、SNSで活動しているモデル・飛鳥ちゃんの投稿写真と一致。
江口寿史さんが炎上してて興味本位で他のイラスト見てみたら、凄く推しを感じてびっくりした
— hikaru (@yXasz) October 4, 2025
他にも何枚か飛鳥ちゃんが元なのかなっていう表情とかポージングのイラストあった pic.twitter.com/8rN6be7Yb4
輪郭やポーズがそっくりで、
「これはもう元写真に線を引いただけでは?」
という意見まで飛び出しました。
その他、多数












こうした比較画像が一気に拡散されたことで、「江口作品は本当に“オリジナル”なのか?」という疑問の声が広まりました。
さらに、トレース元として使われたのがPinterestやInstagramなどのSNS投稿だったことも問題に。
これにより、
- 一般人の肖像を勝手に使っていたのでは?
- モデルに無許可で、商用案件に転用していたのでは?
といった疑念が強まりました。
SNSでは「また古塔つみのようなことが起きた」という意見も多く、江口氏の過去作品まで掘り返される事態に。
比較画像の力は強く、視覚的な衝撃が炎上をさらに広げたのは間違いありません。
江口寿史氏からのコメントと各企業の対応 ※10/12追記
時間の経過とともに、各企業が対応を発表しました。
そして、江口氏本人も、毎日新聞に対してコメントをしています。
公式Xでは、新しい投稿は今のところありません。
2025年10月8日(毎日新聞へのメール回答)
騒動の拡大を受け、企業からの問い合わせ対応と弁護士との精査中とのことです。
- 「現時点でのSNSへの発信および外部、マスコミへの発言は控えるよう言われている」
- 「自分の言葉での説明はもちろんするつもりですのでお待ちください」
現在の状況と、説明する意思があることを伝えました。
各企業の対応まとめ
| 企業名 | 使用目的 | 対応内容 |
|---|---|---|
| ルミネ荻窪 | 「中央線文化祭2025」告知ポスター・ビジュアル | 告知ビジュアルを一時撤去。確認後、制作過程に問題ありと判断し、今後一切使用せず。関連トークショーも中止。 |
| Zoff | 広告ビジュアル(店頭ポスター・SNS投稿など) | イラストの制作過程について確認作業を進め、公開停止および事実関係を調査。 |
| デニーズジャパン | コラボ広告・キャンペーンポスター(店舗内外) | イラストの制作過程について確認作業を進め、公開停止および事実関係を調査。 |
| セゾンカード(クレディセゾン) | 会員向けプロモーション用ビジュアル(広告・冊子など) | 事実関係の確認・精査を進め、今後対応が明らかになるまでイラストの各種コミュニケーションツールでの使用を見合わせる。 |
| 熊本ワインファーム | 江口寿史イラスト入りTシャツ(商品販売・ふるさと納税返礼品) | 関連商品の取り扱いを停止し、事実関係を確認中。 |
| 熊本県水俣市 | 観光PR用ポスター・地域振興ビジュアル | イラスト制作の経緯に問題はないと認識し、使用を継続。 |
| 熊本銀行 | 店舗ポスター・地域応援キャンペーン広告 | 一連の報道や諸般の事情を鑑み、使用を見合わせる。 |
ほとんどの企業が、江口寿史氏の作品を使わない判断をしています。
2021年11月13日、江口氏は熊本県水俣市の観光大使第1号に任命されました。
最近では、熊本ワインファームがコラボTシャツ「江口寿史×菊鹿ワイン」を販売。
販売開始日は非公表ですが、10月3日時点で一部サイズが完売するほどの人気だったようです。
騒動後、10月8日に取り扱い停止の発表をしました。
熊本ワインファームをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。 江口寿史氏デザインTシャツで使用されたイラストについて、多くの皆さま方にご心配、ご迷惑をおかけしておりお詫び申し上げます。現在、事実関係を確認中でございます。尚、商品の取り扱いは停止しておりますのでご報告申し上げます。
— 熊本ワイナリー・菊鹿ワイナリー【熊本ワインファーム㈱】 (@kumamotowine) October 8, 2025
各企業が今後どうするか、その判断は、江口氏からのコメントによって決まると予想されます。
古塔つみとの共通点は?“第二のトレパク騒動”との声も

江口寿史さんの炎上騒動が広がるなかで、SNSではある名前が何度も引き合いに出されました。
それが、2022年に大炎上したイラストレーター、古塔つみ(ことう つみ)氏です。
彼女もかつて、写真のトレースを疑われ、企業コラボやグッズ展開を中止するなど、大きな波紋を呼びました。
そのときの出来事と、今回の江口氏の騒動があまりにも似ているとして、X(旧Twitter)では「第二の古塔つみ」という言葉までトレンド入りしています。
共通点①:元ネタの出どころがSNSやPinterest
古塔つみ氏は、PinterestやInstagramなどに投稿された実在の人物の写真を“無断で”トレースしたと疑われました。
江口氏もまったく同じように、金井球さんのInstagram投稿をはじめ、Pinterestの画像を元にしていたとされます。
しかも、どちらも商用案件として使用していた点が一致しています。
共通点②:無許可 → 事後承諾 or スルーの構図
古塔氏は当時、指摘されたトレース疑惑を否定し続けたまま沈黙。
一方、江口氏は「描いたあとで許可をとった」と説明しましたが、使用前に承諾を得なかったという点では同じ構造です。
そのため、SNS上では「またか…」「なぜ学ばないのか」という疲弊まじりの声が目立ちました。
共通点③:比較画像で“証拠”が可視化されたこと
両者とも、比較画像が爆発的に拡散されたことが、炎上の決定打となりました。
言葉よりも、重ねた画像の一致度の高さが説得力を持ってしまい、「これはもうアウトでしょ…」という空気が広がってしまったのです。
とはいえ、2人のあいだには決定的な違いもあります。
古塔つみ氏の場合は、倫理面での重大な問題が含まれていました。
- SNSでの性別詐称疑惑
- 未成年の写真を収集していた可能性
- 完全否定 → 証拠隠滅という対応
江口氏の場合は、あくまで「著作権や肖像権への配慮の欠如」「事後対応の甘さ」が炎上の中心です。
つまり、問題の“深さ”や“種類”は異なるものの、「業界の構造的な問題が表に出た」という点ではよく似ていると言えるでしょう。
Xでは現在も「#江口寿史トレパク絵師」タグが使われ続け、
「イラストって誰のもの?」
「写真を元に描くのはどこまでOK?」
という議論が続いています。
今回の件は、江口寿史さん個人の問題にとどまらず、イラスト業界・SNS文化・著作権のグレーゾーンを改めて浮き彫りにする結果となったのです。
まとめ
今回のトレース疑惑をきっかけに、江口寿史さんの過去作品や発言にまで注目が集まる事態となりました。
最初は一枚のポスターからはじまった炎上でしたが、SNS上では比較画像の拡散、企業広告への波及、過去の画集の再検証など、まさに“総ざらい”のような状況になっています。
とくに問題視されたのは――
- 無断で他人の写真を参考にしたこと
- 商用利用にもかかわらず事前に許可を取っていなかったこと
- 謝罪や配慮に欠ける対応をしたこと
これらが重なったことで、「技法としてのトレース」ではなく、“クリエイターとしての姿勢”や“著作権意識”そのものが問われることになりました。
さらに、2022年に炎上した古塔つみ氏の事例との共通点も多く、「またか…」という業界への不信感すら生まれています。
イラスト制作の現場では、写真を資料に使うことは決してめずらしいことではありません。
でも、それを“どう扱うか”には大きな責任がともないます。
「引用」や「参考」の範囲を超えて、他人の肖像や作品を“素材のように扱ってしまう”行為は、多くの人にとってショックであり、信頼を失う原因にもなりえます。
今回の騒動を通して、私たちが改めて考えたいのは、
「作品の背景には、誰かの“存在”がある」という意識
「創作とリスペクトは両立できる」ということ
江口寿史さんの一連の問題は、イラストを描くすべての人、そしてそれを受け取る私たちにとって、大きな気づきと教訓を与える出来事だったのかもしれません。

