山形のくら寿司でおきた、ある出来ごと。
普段と変わらない、にぎやかな回転寿司の店内で、制服を着た女子高生の行動が、SNSを通じて全国に広がっています。
その場にいたのは2人
たった数十びょうの動画が、ネット上では何万人もの視線を集める大ごとに。
広まったのは怒りや不快感だけではありません。
「特定」「寿司テロ」「店はどこ?」
そんなワードが飛びかい、社会全体をまきこむような状況になっています。
かつて話題となったスシロー事件を思い出す人もいるでしょう。
なぜ、同じようなことがくり返されるのか?
表に見える行動のうらには、もっと深い問題がかくれているかもしれません。

何したのよ?
普通はやらないことかな

くら寿司でまた迷惑行為!炎上した動画の内容とは?
2025年10月
山形県内のくら寿司「山形南館店」で、普通では考えられないような行動が動画におさめられました。
【悲報】くら寿司(山形市)で回転する寿司を素手で触る、醤油ボトルを舐めたと思われる行為をする女子学生。
— コレコレ@超配信者😷 (@korekore19) October 11, 2025
スシロー醤油ペロペロ少年が6700万円の損害賠償請求をされたというニュースがあっても未だにこういう迷惑行為が絶えない…
※モザイクはこちらでかけてます pic.twitter.com/3WCLXKPtPJ
制服を着た女子高生が、レーンを流れるほかのお客さんの寿司に手をのばし、ネタの上を何度も指でなでるようにさわる様子が映っています。
さらに、テーブルに置かれた共用の醤油さしを手に取ると、その注ぎ口を直接に口にふくみ、なめるというあまりにも非常識な行動に出たのです!
この動画は、配信者として知られるコレコレさんが10月11日にSNS「X(旧ツイッター)」で取り上げたことから、急速に広まりました。
わずか1日で、再生回数300万回をこえるほどの注目を集めたのです!
動画には、もうひとりの女子高生が登場しています。
すぐそばでスマホをかまえながら、「やめとけよ〜(笑)」とふざけた声で呼びかけ、ふたりでわらいながら悪ふざけをしている様子が聞こえてきます。
さらに悪質なのが、その動画につけられたテロップ(字幕)の内容です。
「店員とーったの焦った」
「もう捕まれは」
こうした発言からも、自分たちの行動が悪いことと理解したうえで、あえてやっていたことがうかがえます。
ただのノリや冗談ではすまされません。
この動画を見た人たちからは、
- 「不快すぎる」
- 「またか…」
- 「もう寿司食べに行けない」
といった声が続出しました。
この事件は、かつてのスシロー醬油ペロペロ少年の事件とあまりにもよく似ています。
- 「あんなことをやらかすのは特別なひと」
- 「自分は関係ない」
- 「あんなことやるわけない」
その気持ちが、自分がやっていることの善悪を判断できなくしたり、ストップがかけられなくなったりするのかと思います。

回転寿司いったとき想像しちゃうかも
おいしい寿司が...

迷惑行為をした女子高生は誰?SNSで特定された情報とは
山形のくら寿司で迷惑行為ですか。
— バル (@b_r_koguchi) October 12, 2025
もう撮影者と実行犯の身元特定されててビックリ。
情報社会怖いねぇ。
動画の炎上とともに、ネット上では「特定班」とよばれるユーザーたちが、すぐに動きはじめました。
SNSや掲示板では、動画に映っていた女子高生と思われる人物の顔写真が、加工なしのまま出回りはじめます。
さらに、その女子高生が使っていたとされるInstagram(インスタ)やTikTok(ティックトック)などのアカウントも発見され、過去の投稿や交友関係まで公開されるように……。
※この記事では載せません。
流出したのは顔写真だけではありません。
- 本名(フルネーム)
- 通っている高校の名前
- 制服写真との照合画像
- 自宅の位置情報のうわさ
- 「実家はお寺」などの未確認情報
ここまで広がったのは、本人たちが日ごろの投稿に位置情報や顔をのせていたことが大きな理由のひとつです。
なかでも、特定の決め手になったとされるのが「BeReal(ビーリアル)」というSNSアプリです。

このアプリでは、決まった時間に写真を撮って投稿しますが、位置情報が自動でつくことがあります。
本人たちのBeReal投稿から、普段の行動範囲や生活している場所がある程度までしぼりこまれ、「山形市内のくら寿司」とSNSで指摘されたのです。
ネット上ではすでに、
- 「高校を退学になったらしい」
- 「制服が〇〇高校に似ている」
- 「お寺の娘らしい」
などの情報が飛びかっています。
しかし、これらの話の多くはうわさレベルで、信ぴょう性のないまま広がっているのが現状です。
なかにはまったく無関係の子の写真や情報まで拡散されており、すでに学校や家庭への問い合わせが殺到しているという報道も出ています。
これはもう二次被害です。
こうした“ネット私刑”は、もはや事件そのものよりも悪質になってしまう可能性すらあるのです。
たとえ本人だったとしても、未成年者の名前や住所、家族構成までを拡散する行為は名誉きそんやプライバシーの侵害にあたるおそれがあり、刑事・民事どちらでも責任を問われることがあります。
「悪いことをした人には制裁を」
たしかにその気持ちはわかります。
でも、その“正義感”が暴走したとき、より多くの被害者が生まれることを忘れてはいけません。

処罰を加えるのは法の役目
個人がやったらダメってこと

くら寿司の公式発表 10月14日

10月11日にコレコレさんがあの動画を投稿した3日後、くら寿司から公式な発表がありました。
店舗名の、「山形南館店(やまがた みなみだて てん)」も発表されています。
- 「実行犯についてはすでに特定しており、地元警察に相談しながら対応を進めてまいります。」
- 「許される行為ではなく、厳正な対応をしていく予定です。」
動画の投稿に気づいた時点で、山形南館店ではレーンにあるすべての商品を入れかえたようです。
また、テーブルに置いてある醤油さしなどの調味料は、普段からお客さんの入れかえと同時に交換しているとのこと。
・・・くら寿司、普段からそこまでやってたんだ!!
すでに警察が入っているとのことで、今後は正式な捜査や法律にそって進んでいきます。
“ネット私刑”がこれ以上悪化ことを祈ります。

ちゃんと発表があってよかった
でもお客さん減ったとかあるかもね

スシロー事件から何も学ばなかった?繰り返される“寿司テロ”の背景

今回のくら寿司での迷惑行為を見て、「またか……」とため息をついた人も多いはずです。
なぜなら、これとほとんど同じ事件が2023年にスシローで起きていたからです。
いわゆる「スシロー醤油ペロペロ少年事件」
そのときも、醤油のボトルをなめた男子高生の動画が大炎上!
この少年の愚かな行いのせいで、スシローは売り上げが落ちたとして、少年の家族に対して約6700万円の損害賠償を求めました。
親会社の株価にも影響し、時価総額が160億円以上下落したともされています( ゚Д゚)
事件のあとには、回転ずし業界全体でAI監視カメラの導入や、ふた付き皿の導入などさまざまな対策がとられました。
にもかかわらず、また同じような行動がくり返されてしまったのです。
いったい、なぜこんなことが起こるのでしょうか?
📱 SNSで「ウケれば勝ち」の時代
今の若い世代のあいだでは、SNSの「いいね」や「バズり」が価値のモノサシになっています。
とくにTikTokなどでは、目立つ・ヤバい・ウケるという要素が、動画を拡散させる“燃料”のような役割を持っています。
その結果、「ちょっとしたノリ」のつもりでこうした迷惑行為が投稿されてしまうのです。
📶 「軽さ」と「無自覚」が生む大きな代償
今回の女子高生たちも、自分たちの行動がここまで大ごとになるとは想像していなかったのかもしれません。
スマホやSNSに囲まれて育った世代にとって、
「撮って」
↓
「投稿して」
↓
「笑われる」
この流れは日常のひとコマになっているのです。
でも、そのひとコマが誰かの信用や商売をこわすことになるとは気づかないまま・・・
投稿につけられたテロップ「店員とーったの焦った」や「もう捕まれは」などの文字からも、悪いことだと分かっていても、それを“ネタ”として消化してしまう感覚が見えてきます。
🍣 回転ずしチェーン全体への影響
このような事件が起きるたびに、くら寿司やスシローなどの回転ずしチェーンは、店舗の信頼を回復するために多大なコストをかけています。
実際、今回の山形のくら寿司でも、「ここが現場では?」という情報が出回り、風評被害や営業への影響が出ているとの声もあります。
お店側がどれだけ対策をしても、人のマナーが変わらなければ完全に防ぐことはできません。
🧠 わたしたち自身にも問いかけるべきこと
今回のくら寿司の事件は、ただの“迷惑行為”として終わらせてはいけないテーマを持っています。
それは、わたしたちの社会全体のモラルが問われているということです。
- 面白がって動画を拡散していないか?
- 「特定班」として過剰に追い詰めていないか?
- 誰かの人生を“ネタ”として消費していないか?
悪いことをした加害者がいたのは事実です。
でも、それを取り巻く空気をつくっているのは、わたしたち自身かもしれません。

過剰な攻撃になっちゃう
自分の行動もふりかえろう

まとめ
山形のくら寿司でおきた女子高生による迷惑行為は、単なる悪ふざけではすまされない重大な問題へと発展しました。
レーンに流れているネタにさわる、醤油さしをなめるといった行動が動画におさめられ、それがSNSで広まり、本人たちの“特定”や二次被害まで起きています。
かつてのスシロー事件とよく似た構図に、「またか」と落胆する声も多く、再発防止が社会全体の課題として浮かび上がりました。
こうした行動を生んだのは、加害者の軽さだけでなく、それを広める空気かもしれません。
見て、知って、どう受けとめるか。
その責任は、私たちにもあるのではないでしょうか。
